アフターコロナも選ばれる人材であるために

転職雑記

テレワークを経験されてメリットやデメリットなど感じ、今後どのように活用していくことが成果につながるのか悩まれている方も多いのではないでしょうか。今回はそのテレワークに注目し、そこでの課題を踏まえてどのように成果を出していくかを紹介いたします。
この記事の内容を実践することであなたのテレワークライフは良い方向へ進むことでしょう。
実際にテレワークを体験された方が感じたことのデータや対策方法などを元に紹介しますので、是非自身にあった方法を取り入れてみて下さい。

そもそもテレワークは定着していくのか

フルリモート(完全在宅)とまではいかないながらも、週に数回のテレワークは認められていくことが予想されます。
その理由についてみていきましょう。

テレワークがもたらす採用への影響

テレワークが定着していくと予想した理由は主に採用にあります。
採用においては学生から20代〜30代を中心にテレワークを求める声が多く挙がっており、企業として敢えてここを見過ごすのは得策ではないと言えるでしょう。
人事ポータルサイト【HRpro】では20代を対象にアンケートを実施した結果、20代の80%がテレワークの制度を「利用したい」と回答しており、国土交通省が行なったテレワーク人口実態調査においても、89%がテレワークに対して継続の意向があることがわかりました。
また、株式会社学情が実施している「あさがくナビのアンケート」では、今後社会人となる学生においてアンケートを実施しており、その中でテレワークを重視する傾向にあるのは50%ほどであり、60~70%は興味を示しているといったデータが出ています。

上記のような「労働者の求める声」だけでなく、テレワークの導入によりこれまで採用の視野に含まれていなかった「潜在労働人口」も労働力の候補として検討が可能となります。この潜在労働力人口はパーソル総合研究所のデータによると、2025年時点で135.9万人に及ぶとされており今後の人材不足を解消する一つの鍵になるでしょう。

このように幅広い世代からの需要であったり、採用の視野を広げる「テレワーク」は、人材不足社会での生存戦略に大きく影響してくると言えることから、今後定着していくことが予想されます。

★潜在労働人口とは
「働く意思がある人」で、「時間や場所が合えば働ける」「4職種を遂行するスキルがあれば働ける」「時間と場所、スキルの両方があれば働ける」とする人数を指します。 
※4職種
・営業職、企画 
・経理、事務職 
・専門的、技術的職業
・管理的職業

テレワークのメリットとは

ここまではテレワークへの需要やその必要性について解説してきました。それでは、実際に何が良くてテレワークが好まれているのかであったり、どういった形態が好ましいのかをみていきます。

時間の融通が効くことや効率的であること

テレワークの導入により最も効果的であったのは「時間の融通が効くことや効率的であること」です。
国土交通省が実施した「テレワーク人口実態調査」では、テレワークの良い点として「コロナ対策」に次いで「時間の効率化」が挙げられています。
この調査はテレワークの利用前後で比較されており、時間の効率化においては「利用前の良いと思われる点」として63.5%であったものが、「利用後の良いと思われる点」では87.2%と20%以上も上昇していました。
時間の効率化については以下のような項目が含まれており、テレワーク利用前後での意識の変化は予想以上であったということが伺えます。

・通勤時間やその負担の削減
・時間の有効活用による生産性の向上
・家事育児など生活との両立
・災害や事故発生時、病気や怪我でも勤務可能
・病気感染のリスクが抑えられる

企業目線では優秀な人材を採用しやすいといった視点も

優秀な人材でありながら出勤が困難ゆえに働けなくなった者でも、テレワークであれば採用が可能となることや、採用の範囲を「通勤範囲内→全国」にすることで分母を増やし、良い人材へ巡り会う可能性を高めるといったメリットがあります。
帝国データバンクによると2022年10月時点における人手不足を感じている企業の割合は、正社員では51.1%、非正社員では31.0%となり、国内で新型コロナウイルスの感染が本格的に拡大した2020年4月以降でそれぞれ最も高い数値となりました。
今後も人手不足は深刻化していくため、企業はテレワークを活用して採用のターゲット層を広げることや、既存社員の離職率を下げることを考えなくてはならないのです。

テレワークのデメリットとは

テレワークのメリットでは働き方改革に則した柔軟性のある働き方が最も良いとされており、今後も継続的に利用していきたい意向が多いことがわかりました。
しかし同時に、業務の複雑化やコミュニケーションコストがかかるなどデメリットを感じている方が多いことも事実です。
このデメリットとされている部分こそ課題であり、払拭に努めることで選ばれる人材になりうる部分となります。
以下で詳細をみていきましょう。

最も深刻なのはコミュニケーション

デメリットとして最も大きいのはコミュニケーションの面です。
従業員同士の物理的な距離が離れてしまうことで、口頭での伝達や確認といった対面ならではの気楽なコミュニケーションが減ってしまいました。
それによって業務効率の悪化マネジメントの不行き届きが発生するなど懸念も挙がっています。
実際に「テレワーク人口実態調査」では約50%の方が業務効率が悪いと感じられており、60%が業務に支障をきたしていると回答しています。

加えてコミュニケーションが希薄になってしまうことから、チームワークといった社員間の繋がり帰属意識が薄れてしまうといった問題も挙がっています。出社とテレワークが入り混じることでそれぞれの温度差情報格差が生まれており、そのままでは健康な組織運営は難しいと言えるでしょう。

セキュリティインシデント

VPNやVDIなどテレワークに適した環境構築によってセキュリティ意識を高めているものの、これまでの通信環境と異なる場所での業務により、ウイルス感染や情報漏洩のリスクが増加しているのも事実です。
また、機器の紛失や破損など管理面の問題も発生しており、セキュリティ事故に関する調査を行っているJPCERT/CCによれば、インシデントの報告件数は2020年3月を境にして急激に増加していることがわかります。

インシデント発生件数
2022年41173件
2021年32678件
2020年28447件
2019年20303件
JPCERT/CC インシデント報告対応レポートより
https://www.jpcert.or.jp/ir/report.html

セキュリティにおいてはツールや手段だけでなく社員のセキュリティ意識も重要であり、総務省からは「ルール」「人」「技術」のバランスがとれた対策が必要であると講じられています。
総務省:テレワークセキュリティ ガイドライン
また、近年ではIT化(DX:Digital Transformation)が進行しており、日々新たなツールや連携手段が生まれていることから最低限のITリテラシーも求められるようになりました。

選ばれる人材になるには

今後の課題は「リモートだから生産性が落ちる」ではなく、「リモートを加えた上でどうしたら生産性を向上できるか」を考えなければなりません。
「生産性の向上」は、個々のマネジメントやそれを取りまとめるマネジメント、チームワーク意識の向上など様々な要因が組み合わさることで実現します。

セルフマネジメント

他人の目がない状態での業務となるため、セルフマネジメントとして自己管理が重要となります。
その自己管理の方法としては以下の2点を意識しましょう。
・成果や自身の仕事の提供価値を意識する
・自身が一番力を発揮できる状況を理解する

成果や自身の仕事の提供価値を意識する

テレワーク下では、プロセスを示すだけでは仕事をしているとは言いがたく、結果や成果がこれまで以上に問われます。結果や成果を出すには、自身の役割や目的だけでなく所属部署の役割や目的、更には職種の存在意義を念頭に「何を仕事とするか」を考えることで視野を広く持つことが重要です。
その視野をどのようにして培うかは「must」「can」「will」の3つの接点を見いだすことから始めてみましょう。

①must
会社が目指している方向性「must」を理解する。
②can
自分自身のスキルや経験から持ち味として力を発揮できる部分「can」は何かを考える。
③will
理想の状態や状況、更にこんなことをできたらいいなという「will」を持つ。

自身が一番力を発揮できる状況を理解する

力を発揮できるポイントとして「環境」は重要なものとなります。
これはデバイスなどの機器を初めに、机や椅子、照明の明るさ、部屋の温度など業務を行う環境面が整っているかがポイントとなり、人によってはオフィスより快適な環境を作りだせています。
とはいえここは予算にもよってくるので、先行投資としてデスク周りに投資できるのであればモニターや疲れにくい椅子、照明などを準備しておくと良いでしょう。
また、環境とはデスク周りのみならず、生活環境としてベストな時間帯や家族との関係性なども含まれます。
部屋周りの騒音や明るさ、ご家族がいる方であれば料理の時間やお子様の活動時間なども考慮した上で、各業務を行うベストな時間をコントロールしていくとよりパフォーマンスが発揮できるでしょう。

テレワークだからこそ主体的に動く

次のポイントは主体的、積極的に行動を起こすということになります。
先でもお伝えしたように、テレワークではテキストでのコミュニケーションが中心です。そのため、通常以上に積極的な発信や報連相を行うような「主体的に動く」ということを意識する必要があります。
「積極的に情報発信を行う」というのは当たり前ではないかと思われるでしょうが、これまで無意識に対面で行ってきたコミュニケーションをテレワークで再現するというのは意外にも難しいものです。

テレワーク下のコミュニケーション

・雑談を主とした関係構築のためのコミュニケーション
・チームワーク向上のためのコミュニケーション
・進捗管理などの確認やトラブル察知のコミュニケーション
・考えをすり合わせる或いは意見を出し合うコミュニケーション

ひとえにコミュニケーションと言ってもざっくり上記のような種類があります。
これらについて積極的に行うとしたらどのような対策が望ましいでしょうか。

まず、テレワークではテキストでのやり取りが主となるため、雑談はミーティングの後や空き時間など限られた時間の中で意識的に行っていく必要があリます。
また、敢えて雑談の時間として場を設けるのも一つの作です。
会社によってはミーティングツールを接続し続けた状態にすることで質問や雑談をしやすくする取り組みや、オンラインオフィスといったバーチャル空間での業務によって、オフラインに近い状態を作り出すと言った取り組みをされている企業もあります。
何れにせよ積極的に「機会を設ける」取り組みが必要であることは間違いありません。

この問題の解決方法としては「積極的な情報発信」として、あえてコミュニケーションの場を設けることや細かいことでも言語化してログを残しておくことが挙げられます。
コミュニケーションの場としては以下のような工夫が効果的です。

・定例のミーティングの回数を増やす。
例:朝会・昼会・夕会など
・ミーティングツールを繋げたままにする。
例:Teams、Google Meet など
・ミーティングの内容は共有されているドキュメントに残す。
例:Google Documentなど)
・通常のアジェンダに加えて雑談を織り交ぜるような構成にする。
質疑応答ではなく雑談やチームビルディングとしての取り組みを行う時間を設けましょう。

これにより情報の不行き届きなどの情報格差を減らすことや、「言った言わない」といった問題を減らす効果が期待できます。

また、それぞれのタスクを可視化することにより、いつどこで誰が何をしているのかをチームメンバーが把握できている状態が理想です。
テレワークは不透明さが生産性を下げる要素になるため、可視化することでコミュニケーションを円滑にすることが可能となり、不透明さやチームワークの希薄化を防ぐ効果が期待できます。

情報収拾とアウトプット

オンラインのセミナーや個々人のアウトプットが増加しているため、積極的に情報収拾に努める姿勢も求められるようになっています。
単に情報を収拾するだけでなく、自身以外にも共有することでチームや会社の財産にする動きまで取れると評価を受けやすい傾向にあります。
「情報収拾→業務へ活かす」+「共有」といった流れは、テレワークでなくとも重要な行動としてみられていましたが、「積極性・主体性」が問われるテレワーク環境下ではこれまで以上に「評価がしやすくなった」と言えるのではないでしょうか。

適切なマネジメント

「部下の行動を監視する」という視点ではなく「達成した業務・パフォーマンスをもとに評価する」という視点が必要になります。
目に見えないからこそ「サボっているのではないか」と思われる方もいると思いますが、ここでガチガチに縛ってしまうと本来の柔軟さが欠けてしまうため、「監視」ではなく「業務のパフォーマンスをもとに評価する」ことを心がけましょう。

そのような目線になると必然的に評価しやすいのは定量面になります。
前述した「成果や自身の仕事の提供価値を意識する」でも、「プロセスを示すだけでは仕事をしているとは言いがたい」とお伝えしましたが、やはり定量面の評価に対する優先度は高まるでしょう。
しかしここでお伝えしたいのは、マネジメントを行う側であれば定量面の評価だけでなく定性面の評価を拾うためのコミュニケーションを取っていかなければならないということです。
あくまで定量面の評価が優先されてしまうだけであり、定性面を評価しなくても良いというわけではありません。部下やメンバーに積極的な発信を促し、それを拾って評価するといった好循環を作り出すことでより良いマネジメントを実現することができます。

まとめ

活躍していくための行動を改めて言語化していくと「主体的に」であったり「コミュニケーションを大切に」といった当たり前と思われることが大半を占めています。
しかし、これを当たり前と捉えずにあえて意識して行動に落とし込んでみてください。
そうすることでチームとしての課題が見つかり、結果として全体の生産性を上げる手立てになるはずです。

ここまでテレワークができることを前提としてお伝えしてきましたが、世の中にはテレワークに向いていない職種もあります。勿論無理にテレワークを導入する必要はありませんが、向いていないというだけで業務を細分化すればテレワークに置き換えることができる業務もあるのではないでしょうか。
まずは「できない」ではなく「どうしたら導入できるか」を考え、トライアンドエラーを繰り返していきましょう。

先駆的なワークスタイルが印象的な「サイボウズ株式会社」も導入のきっかけは2009年ごろであり、長い年月をかけてトライアンドエラーを繰り返してきました。2019年のコロナウイルスがきっかけで世に広まったテレワークですが、「合わなかった」「生産性が下がった」と決めつけるのは勿体無く、長い目で最適なワークスタイルを探していきましょう。

※おまけ:分散型エンタプライズの利点を活かして競合他社に差をつける。
分散型エンタプライズとは、従来のオフィス中心の組織から、さまざまな場所に拠点を置く人材で構成される組織を指しており、以下3点が
ポイントになります。
①デジタル・ファースト、リモート・ファーストのビジネスモデルを反映する。
②従業員エクスペリエンスを高める。
③ユーザーや顧客との接点をデジタル化する。
IT分野を中心とした調査・助言を行うガートナー社の予想では「2023年までに、分散型エンタプライズの利点を生かしている組織の75%は、競合他社よりも25%速く売り上げ拡大を実現する」と見ています。
タイトルとURLをコピーしました