福利厚生について知ってますか?(Part1)

転職雑記

「福利厚生が充実した環境で働きたい」と誰しも思いますよね。
その一方で、何があれば充実しているといえるのかであったり、自身にとって充実してて欲しい福利厚生とはなにか?といった点で上手く言語化できていない方も多いのではないでしょうか。
今回はそういった点から福利厚生は何を指すのかであったり、世の中にどういった福利厚生があるのかを見ていきたいと思います。


【この記事は4部構成になってます】

Part1~3まではちょっと真面目な内容として法的に制度化されている法的福利について紹介していきます。
Part4では法定外福利としてユニークな福利厚生を紹介しています。
すべてを理解する必要はありませんが、ちょっと長ったるいなと思ったら好きな項目を読んで下さい。

■Part1
法定福利
・社会保険:健康保険厚生年金保険

■Part2
法定福利
・社会保険:介護保険、子ども・子育て拠出金

■Part3
法定福利
・労働保険:雇用保険、労災保険

■Part4
法定外福利

大前提:福利厚生とはそもそも何なのか

「福利厚生」とは、賃金といった基本的労働条件とは別に、企業が従業員やその家族の暮らしの支えの一部として用意するものを指してます。
この福利厚生には2種類あり、企業が法律により導入を義務付けられているものが法定福利で、企業が自由に導入できるものが法定外福利となります。
「福利厚生が充実しています」と謳っている場合は、法定外福利のことを言われているケースが殆んどになるでしょう。

【豆知識】
福利厚生の始まり
福利厚生の始まりは明治時代です。
殖産興業により紡績工場や製鉄所などの多くの工場が建設され、日清戦争や日露戦争などによりさらに軍需産業も盛んになったことから、労働の需要が非常に高まっていました。
しかし、需要が高まる一方で賃金は低く、労働環境も過酷であったことから、逃げ出したり病気で働けなくなる労働者が続出したため、それに困った経営者は労働力を確保するために「経営者が責任を持って労働者の生活の面倒を見る」という動きを取るようになりました。
それが福利厚生の始まりであり、第一次世界大戦後から本格的に現代に残るような福利厚生が生まれてきたという背景になります。

法定福利

法定福利は「従業員の健康の維持」と「安全で快適な職場環境の管理」を目的として義務付けられている制度であり、企業にとっては大きな支出負担となりますが、従業員が安心して生活していくために欠かせない費用でもあります。
基本的に法定の福利厚生となっている社会保険や労働保険は、要件を満たしている場合、義務付けられている制度なだけあって加入必須です。

この法定福利には社会保険と労働保険があり、今回のPartでは社会保険の中の健康保険と厚生年金保険について解説していきますね。

社会保険

社会保険は、お互いに助け合う相互扶助の理念に基づき、多くの人が加入して母集団を作ったその中で、保険事故によるリスク分散を図るといったものになります。
皆加入することで財源を確保して、共に補い合うといった理念ですね。
そのため日本では「国民皆保険」といって原則すべての国民が生まれたときから健康保険制度に加入している状態となります。

ただ、その中で加入する保険は雇用形態によって異なるため、そのあたりについて見ていきましょう。

健康保険

▼どういったものか
社会保険とは業務外の病気やケガなどで治療が必要になった際に、従業員(被保険者)の実費負担を軽減するものであり、従業員の家族(被扶養者)もその給付を受けることができる制度です。

業務外とありますが、業務内での病気やケガの場合は同じ社会保険の中の労災保険になるので、業務内外で別々の保険に入っているという認識をしておくと良いでしょう
誤って健康保険を使ってしまったといった場合も、厚生労働省からも切り替えについての案内が出ておりますので、以下に従って手続きをしてもらえれば大丈夫です。
業務中や通勤途中のケガに、健康保険は使えません!!

健康保険制度は健康保険と国民健康保険に分かれている
以下のように雇用形態によってそれぞれ加入する保険が異なります。

種別加入対象者
健康保険会社員・公務員とその扶養家族 など
国民健康保険 個人事業主や農業・漁業に従事している方
パートやアルバイトなどで職場の健康保険に加入していない方 など

健康保険と国民健康保険の違いは?
医療費負担が原則3割であることや、出産育児一時金が原則42万円であることは共通していますが、それ以外の出産手当や傷病手当の有無であったり、保険者が市区町村なのか勤務先なのか、支払い方法や負担割合などが異なります。
また、健康保険の場合は、労使折半といって会社と労働者で半分ずつ分けて支払っているので、労働者側としてはあまり目に見えないながらも実はありがたい制度なんです。

▼以下がわかりやすくまとめたものです。

共通の手当・医療費の3割負担
・出産育児一時金42万円
健康保険  :もらえる
国民健康保険:もらえる
異なる手当・出産手当金
・傷病手当
健康保険  :もらえる
国民健康保険:もらえない
保険者 / 保険料①保険者
②保険料の計算
③保険料の支払い
健康保険
①勤務先が所属する健康保険団体
②給与によって変動するため会社が計算
③給与から天引(勤務先も割合で負担)

国民健康保険
①市区町村
②自治体が計算(前年の所得に応じて変動)
③全額自分で払う

厚生年金保険

▼どういったものか
厚生年金保険は、会社で働く従業員が加入する公的年金制度です。
公的年金とは国が運営する年金全体を表すものであり、日本では「国民皆年金」といって、20歳以上60歳未満の全ての国民が公的年金に加入することになっています。

▼よく聞く階層構造とはなにか?
公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2種類存在しています。
加入する保険が分かれており、同時に積み重ねることができるものであるため1階部分の年金・2階部分の年金という階層構造で呼ばれているのです。

国民年金「国民」とあるだけに、全ての国民を対象としたものであり、階層構造で言う「1階部分」にあたる年金を指します。
厚生年金は年金の「2階部分」と呼ばれており、会社員や公務員など組織に雇用される人が国民年金とあわせて加入するもので、国民年金に上乗せされる形で作られている制度です。
※健康保険と国民健康保険のように加入する保険が棲み分けされているものとは違い、こちらの場合は合わせて加入するものとなります。

しかし、これでは組織に雇用されていない個人事業主などの方々は所謂国民年金の1階部分しか恩恵をうけられないため、そういった方々に向けた「付加年金」や「国民年金基金」といった制度も設けられております。

▼最近よく聞く確定(給付・拠出)型年金とはどこに属するのか?
確定拠出型年金は公的年金ではなく、勤務先や個人が準備する私的年金という第3の年金となります。
1階部分が国民年金であり、2階部分が厚生年金、その3階に位置する年金が私的年金です。

1階国民年金20歳以上60歳未満の全ての国民が加入
2階厚生年金会社員や公務員など組織に雇用される人が加入
3階私的年金勤務先や個人が加入

▼公的年金+私的年金
改めてですが、私的年金は公的年金の上乗せの給付を保障する制度となります。
この私的年金は確定給付型確定拠出型の2種類存在しています。

確定給付型年金

確定給付年金とは掛金の拠出・運用・給付をすべて企業が行う年金制度です。
加入した期間などに基づいてあらかじめ給付額が定められている年金制度であり、規約型と基金型に分かれています。
主な違いは運用の実施主体を企業外に置くか、企業内に置くかという点です。

■規約型(規約型確定給付企業年金)
企業が生命保険会社や信託銀行と契約を結び、母体企業の外部で年金資金を運用する制度

▼ポイント
・事業主は労使で合意した年金規約に基づいて掛金を拠出する。
・外部の受託機関が資金の管理・運用から年金給付までを行う。
・加入者の人数要件もないことから、大企業だけでなく中小企業も導入できる。

■基金型(基金型確定給付企業年金)
設立した特別法人で年金資金の管理・運用や年金給付を行う制度

▼ポイント
・従業員側も運用方針の決定に参画することができる。
・企業からの独立性が強いため、事業主・加入者双方の立場に立った中立的な運営が期待できる。
・加入者が300人以上であることが設置条件になるため、主に大企業に導入されることが多い

※懸念
近年の少子高齢化や運用利回りの低下によって運営状況が悪化していることから、企業年金の見直しや廃止の可能性が懸念されています。
理由としては、確定給付型年金が賦課方式(ふかほうしき)という現役世代から保険料を徴収して年金受給世代を支える方式であるためです

少子高齢化といった保険料の支え手が減る一方、受給世代が増加するといった構造では、支え手一人あたりの負担が増えてしましまうため、現代の時代と合わなくなってきているという課題が生まれています。
そのため、確定給付企業年金のリスクを回避しつつ、従業員の老後の所得を確保するため、確定拠出型年金を福利厚生として導入する企業が多くなっています。

確定拠出型年金

拠出した掛金額とその運用収益との合計額を基に給付額を決定する年金制度であり、確定給付型年金と違って加入者自身で資産の積立・運用を行っていく必要があります。
そのため、加入者の運用次第で元本割れの可能性もあり、必ずしも資産形成ができるわけではないといったリスクも存在していることを覚えておきましょう。

この確定拠出型年金については「企業型確定拠出年金」と「個人型確定拠出年金」に分かれており、企業型は厚生年金被保険者且つ、年金規約に定められた者が加入できるものである一方、個人型は原則「誰でも」加入できる制度になります。
そのため一定の条件を満たせば併用することも可能です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)個人型確定拠出年金(iDeCo)
目的福利厚生自助努力
掛け金の拠出企業加入者
運用商品の選定企業加入者
運用加入者加入者
手数料企業負担加入者負担
掛け金の限度月額55,000円・自営業者やその家族   :月額68,000円
・会社員         :月額23,000円
・公務員         :月額12,000円
・専業主婦(夫)など     :月額23,000円
・国民年金任意加入被保険者:月額68,000円
積立期間原則70歳まで原則65歳まで
SBI証券より引用:https://ad401k.sbisec.co.jp/howto/difference/

▼企業型と個人型の違い
個人型の場合は自助努力の制度であるため、基本的に掛け金の拠出からどの商品でどのような運用を行っていくかを加入者自身で行っていかなければなりません。
それに対して企業型は福利厚生として用意されており、運用自体は加入者自身が行いますが、手数料の負担を始めに商品の選定などは企業側が行うといった運用のサポートが入ります。

年金をざっくりまとめると以下のようになります。
個人事業主や公務員の場合、会社員とは異なる年金制度がありますが、一旦は会社員のみのご紹介に留めておきます。

公的年金1階国民年金
公的年金2階厚生年金
私的年金3階確定給付型年金
・規約型確定給付企業年金
・基金型確定給付企業年金
確定拠出型年金
・企業型確定拠出年金(企業型DC)
・個人型確定拠出年金(iDeCo)

まとめ

今回は福利厚生とはなんぞやというところから、福利厚生は法定福利と法定外福利があって、今回はその中の社会保険の一部である「健康保険」と「厚生年金保険」について解説してきました。
ざっくりとした説明になってしまったので、一つ一つ詳しく知りたいということでしたら以下のサイトに目を通してもらえると、かなり詳しく記載があります。

次回
法定福利の社会保険である「介護保険」と「子ども・子育て拠出金」について解説していきます。


 参照 

タイトルとURLをコピーしました