応募社数の適正値について考える

転職エージェント

転職エージェントで相談の結果30〜40社応募に至るケースがあります。
これは珍しい話ではなく、まずは興味あるところ全部エントリーしましょうと進められ、「とりあえず応募」といった形で進行していきます。中には勝手に応募されていたというケースもあるため、応募企業の選定はじっくり行うことをオススメします。
今回はそういった実際の事例を基に、どういった応募が望ましいのかを考えていきましょう

大量応募によるメリット

まずは大量に応募する際のメリットとして大きいものを3つほど見ていきましょう。

①短い期間で転職先が決まる

まず、転職活動を進めていく上でどの程度の期間がかかるのかというと、一般的には4ヶ月程度と言われておりその中で選考へ要する期間は僅か1~2ヶ月程度と思ったより短いんです。
その理由が以下となります。
①通常の選考回数は1~3回程度で2回面接の企業が平均的に多い。
②内定となった際に承諾の可否について期限が設けられる(1~2週間程度)

これらを加味すると、逆に長く転職活動する方が難しいことが伺えます。
また、その際に応募数が多いほど自身の手札が増えるため、短い期間での決定確度は高まります。

②母数が多いことから決定の確度が高まる。

上記のように短い期間での転職となるため、対象となる企業が多いに越したことはありません。
単に手札が多いというだけでなく、一つ一つの振り返りを行うことで次の選考に向けての改善や対策として、面接内容の精度を高めることができるのです。
また、心理的安全性といった面で、「ここが落ちたら次の候補がない」といった状態にもなりにくいことから、比較的安全性を担保して進めることができます。

③幅広く比較検討することができる。

特定の業界や企業のみに絞ることなく、それぞれの良し悪しを比較して進めていくことができます。
検討の幅を広げることで、本来望むキャリアとなる可能性の高かった企業を、求人票を見たイメージでネガティブに捉えてしまい、応募しないといった場合も応募だけはしてみようかと考えるのではないでしょうか。
こういった機会損失も防ぐことができるため、方向性が定まり切っていないといった方は、幅広く応募を検討するといった進め方が方向性を固めるヒントとなるでしょう。

大量応募によるデメリット

メリットだけを見ていると大量に応募した方が良いのではないかと思われますが、これらのメリットには勿論デメリットも存在しています。
そのデメリットについて大きいものを3つほど見ていきましょう。

①応募した企業の情報収集へ時間が取られる。

大量に応募した結果、選考通過が順調にいった場合は各面接の調整は勿論、企業の情報収集に時間が取られます。一般的に書類選考の通過確度は30%前後と言われており、30~40社応募した場合は9~12社から面接の依頼を頂く計算になります。内定の承諾期限を考えると同じスケジュールで進めていくことが望ましく、そうなると1~2週間の中で詰め込んでいかなければならないのです。
連日面接になることで、企業研究はおろか振り返りの時間も取れず、在職中であれば尚更疲労も蓄積されていくでしょう。
その結果、応募数が多かった割に内定となった企業数が少ないといった、忙しいことが印象的な転職活動で終わってしまうかもしれません。

②転職の軸がズレる

様々な職種や分野など多くの面接を進めていく場合、どのような方向性に進みたいかが徐々にズレて来る可能性が高まります。
当初Aをやりたいと思い動いていた中で、Bも良いなCも有りだなと考えていくようになり、最終的に何が一番良いのだろうかと当初の軸を見失うことで、やりたいことを上手く伝えられず結果的に企業側からはミスマッチになる可能性があるとお見送りになります。
勿論活動していく中で新たな軸が出てくることは良いことなのですが、それらを分析せずに全部やりたいであったり、ただ興味を持ったというくらいだと多く受けてもその熱意は響きません。

③妥協による意思決定の可能性

前述したような進め方をしていると、応募社数に対して思いの外選考が通過しなくなってきます。
その結果、「まずは内定を…!」といった状態になり、今の環境からとにかく脱出したいということであっても、結果的にまたしても同じような悩みを抱えてしまうかもしれません。
その際にまた転職をしようと思っても、早期離職であることから前回以上にハードルは上がります。
この点を踏まえてスピード重視であっても、数ではなく質も追える社数進めていくと良いでしょう。

事例紹介

ここで実際にあった大量応募による事例を紹介していきます。
大量応募と厳選応募のどちらが良いのかであったり、意図せず応募されてしまったなどのトラブルについて見ていきましょう。

ケース①大量応募と厳選応募の比較

<活動状況>
・A社からは30社の応募
・B社からは 6社の応募


<内容>
当初エージェント利用が初めてであり、A社でカウンセリングをした際に言われるがまま進めていった結果、「まずは応募しましょう」という流れでその場で50~60社ほどある求人の応募振り分けを行われました。この流れについて疑うこともせず、これが普通なのかと思い進められていたのですが、エージェントは複数社利用した方が良いという情報を見て、B社のカウンセリングを受けることに。
その際に提案された求人は僅か6社であり、なぜ紹介したのかという背景として転職の軸との関連性や、現在の選考状況を見た上での絞った提案である旨を受け、加えて各社の説明も実施されたことで、紹介を受けた6社を申し込まれました。
日程調整は大変難航されつつも無事内定のフェーズとなったのですが、結果は以下のようになりました。


<結果>
・A社からは3社の内定(内定の確度:10%
・B社からは3社の内定(内定の確度:50%


あくまで一例であるため言及できませんが、最初からB社を使っていれば転職活動に割く時間の削減や、選択肢としてより良い比較ができた可能性があるのです。
例えば9~12社面接するとして、1時間想定の場合9~12時間の時間が必要です。
加えて準備の時間として1時間程度と考えると18~24時間かかり、
現在はオンラインが主流ですが、対面での実施となった場合は移動時間として往復1.5~2時間程度も加わります。
そうなると1社にかける時間は移動がなければ最低でも2時間で、移動有りなら最大4時間必要となり、9社となると18時間~36時間も必要となるのです。

結果で見ると内定の社数に変わりないですが、その過程を見ていくと大きな違いがあるので、応募数については進め方を良く相談した上で決めていきましょう。

ケース②意図せず応募されてしまった。

こちらはトラブルの事例になりますが、応募したいわけではないのに応募されてしまったといったケースもあります。これはサービスを利用している中で誤って応募してしまうといった誤操作であったり、応募の意味とは知らずに了承してしまったことによる認識の齟齬によって発生しているケースが散見されます。
実際に「気になる」というのを押したところ応募されており、いつ面接ができるかであったり、いきなり見送りの連絡が来て発覚するといったことも起きています。
この点について、誤操作であれば発覚した際にその旨を媒体またはエージェントへ連絡しましょう。
また、エージェントにおいては担当者と応募する日にちや連絡方法について「いつ・誰が・誰に・何をする」という流れを決め手おくと良いでしょう。

しかしながら、誤操作や認識の齟齬だけではなく、悪質なケースの場合は勝手に応募されてしまったといった事象もあるようです。
勝手に応募されてしまうと、先に応募したところがその権利を得てしまうため、後日別のエージェントや媒体から応募しても既に応募済みという状況になりそこから選考を進めなくてはならない状態となります。
志望度が高い会社こそ慎重に進めていきたいと考えていた中で、そういったことが起きると非常に悔しいですよね。
なので、選考の進め方についても事前によく確認して共通認識を持っておきましょう。

まとめ

一概に大量に応募することが悪いと言うわけではなく、方向性によってその適正な件数や進め方を変えていくことが大切です。
例えばキャリアチェンジなど少しでもチャンスを多く掴みたいという場合は、やはり応募数が多いほうが望ましく、そこで厳選してもその分チャンスが減ってしまうだけになってしまいます。
逆にこれまでの経験の延長線上であったり、進む方向性が見えている状態である場合は、数多く応募しても大差がなく、あまり数の恩恵を受けることがないため厳選して進めていったほうが得策と言えます。
しかしながらこれらは一概には言えないため、担当のエージェントと話し合ってなぜその応募者数が望ましいのか背景説明を受け、その上で納得して進めていきましょう。
時に数を追うことが必要ですが、数だけに囚われずその意味にも注目していくと良い結果につながるのではないでしょうか。

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